2017年3月18日土曜日

花の言葉(7)

花のことば(7)


思い出したが、はなが3才ぐらいだったか、前橋の喫茶店で、お助けおばさん、占いや、相談に乗る女性に、家内とママが幼い花を連れて会いに行ったことがある。何か相談したかったのだろうが内容は覚えていない。
その時、はなに「この子は、人前に出て、目立つ子になるよ」と、聞かれもしないのに言っていた、と、帰ってから家内に聞いた。

そのことを、昨日はなに言うと「私、目立ちたくないの」と言う。
どうして?、バレーでは目立たないといけないのではと言うと、「それはそうだけど」。
目立つと面倒なことが起るから嫌なの?と聞くと、「うーん、それもあるけど」と言葉をにごす。

そういえば、先日、知らない30代ぐらいの男性と、同じ年頃の女性が、夕方訪ねてきて、パパはどういう人?おじいちゃん、おばあちゃんはどう?と尋ねられて、かぼそい声で、パパはすぐ怒るから怖いと言い、その両親はと聞かれて、「まじめだから」と言った。
家では、いつも元気なのに、こんな借りてきた猫のようなはなは初めて見る。
知らない人の前では、はしゃがなく、物静かにしているのだろう。それに、この時は特別な事態だったから緊張していただろう。
彼らが部屋に入るとすぐに、女性が、金色のバッジを見せて、子供たちにさわらせ、緊張しないように計らってくれていたが、ふみやは、うれしそうにさわっても、はなは見ていただけだ。
おじいさん、おばあさんは、優しかったと聞かれても、首を振るばかり、よく怒られた?と聞かれて「大業な時、3回ぐらい怒られた」といい、また「まじめだから」と言う。
彼らの子育ては、しつけを優先していたのだろう。
大業と言い、まじめだからと観察したはなの気持ちを考える。
ことさら、あしざまに言いたくはないし、あの家には帰りたくないと言うので、その葛藤から出た言葉ではなかっただろうか。
帰ってから、どうだったと聞くと、怖かったというので、そういう風に言うとは思っていない僕は、まだまだだなと、はなの顔をのぞいた。 

大田のバレー帰りの車の中からはなから電話があった。
「おじいちゃん、7月の埼玉のバレー全国大会に出られるようになったよ」と、上気した声が聞こえる。
どういうこと?と尋ねると、「急に、一人ひとり試験があって、選ばれた」と言う。
へーすごいねと言うと「おじいちゃん、コンクール代が高いから」と言うので、じゃあ、おじいちゃんが、コンクルートで、低い台を作ってあげるよ、と言うと「そうじゃないの、台の高さではなく6万円もかかるんだって」いつも、僕のだじゃれにつきあってくれるはなは、まだ浮足立って話している。「おじいちゃん、お金出してくれる?」というので、いくらぐらい?と問うと、「うーん、500円ぐらい」と言う。
これで、はなの頭の中は、4月の発表会と、コンクールで満たされて、おじいちゃんと遊ぶことも忘れてしまうだろう。
はなちゃんが,演題のキューピットをお山で踊ってくれれば、出してあげるよと請け負うと、「いいよ、チュチュを着て踊ってあげる」と約束してくれた。
2年生の時、3年生になったらコンクールに出られるんだよと、希望にあふれていたから、よっぽどうれしかったんだろう。
でも、僕との約束が果たされるといいんだけれど。 無理かもね。

「二年の時の今井先生は、怒っても怖くなかったけれど。みどり先生は、怒ると怖いよ、今井先生も、みどり先生もいい先生だし好きだよ」と答える。
どんな風に怖いのと聞くと、忘れ物をした時など「どうして忘れるのですか?ごまかそうとしてもダメです!と言うの」。
はなちゃんは、怒られたことがあるのと聞くと、「怒られたことあるよ」と答える。「怒られると、すごく緊張する」と言う。
どうして怒られたのと聞くと、「忘れ物をしたとき」と答えた。それでは、いい分けしたのははなちゃんだったのか? 

ふみやとはなと3人のお風呂の中で、
「今日はふみやが勝手に箱根をいれた」とはなが怒っている。何種類もある入浴剤の選定は花の独断で決まる。
「きのう箱根はだめだよ、と言ってあったのに、勝手に入れた」と、ふみやに緑色のふろの湯をかける。
顔にかかったふみやが、お姉ちゃんの頭に両手ですくってお返しする。
はなは鼻と口から少し飲み込んだらしくせき込む。
「お湯を飲んじゃった、病気になる」とめそめそしはじめ「ふみやのせいで病気になる」と泣き始めた。
少々飲んでも病気にはならないように作ってあるから大丈夫というも「ふみやをにらみつけている」 
はなちゃん、良寛さんの和歌知ってるのはなんだっけと聞いても、知らんぷりしている。良寛さんは、辞世の句と言って、亡くなる前の句をそういうんだけれど、「うらをみせ、おもてをみせて散るもみじ」と歌ったんだよ。まだ、知らんぷり。
だから、じいちゃんも辞世の句を作ったよ「お尻みせ、沈個を見せて、散るじいじ」っていうんだけど、と言うと、二人顔を見合わせて、ぷっと噴出した。





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